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最終更新日 2025.07.10

「モダマ自生地」の魅力を解説|まるで巨人の世界のような世界最大級の豆が見られる

  • 奄美大島
  • 屋久島・奄美

世界遺産に認定された奄美大島。総面積の約80%が山地になっており、豊かな生態系が育まれています。アマミノクロウサギをはじめとする固有種の宝庫であることに加え、モダマと呼ばれる希少な世界最大級の豆が自生していることが特徴です。

本記事では「モダマ自生地」の魅力やモダマの特徴、「モダマ自生地」へのアクセス方法や観光コースを解説します。

目次

    目次

      奄美市の指定文化財「モダマ自生地」を徹底解説

      鹿児島県と沖縄県の中間に位置する奄美大島はその生物多様性と希少性が評価され、2021年に世界自然遺産に認定されました。そんな奄美大島には、1992年に奄美市指定文化財に認定された「モダマ自生地」が存在します。
      樹齢100年を超えるモダマも存在し、自然の偉大さを感じることができる場所です。

      奄美大島は亜熱帯多雨林で生物多様性が高い

      奄美大島の自然が豊かな背景に、本土とは異なる気候が関係しています。奄美大島は暖かい黒潮の影響を受ける亜熱帯海洋性気候です。亜熱帯は熱帯と温帯の間にあり、海洋性と大陸性に分かれます。海洋性と大陸性の違いを表にまとめました。

      亜熱帯海洋性気候 亜熱帯大陸性気候
      海水の影替 受けることが多い 受けることが少ない
      寒暖の差 少ない 多い

      他にも、黒潮の影響で暖かく湿った空気が中南部に広がる山林地帯にぶつかることで大量の雨が降るため、年間3,000mm以上という極めて多い降水量が特徴です。
      この多雨な環境がスダジイ、イジュ、イスノキ、オキナワウラジロガシ、モダマなどが生い茂る奄美大島独特の亜熱帯多雨林を作り出しています。奄美大島は学術的にも価値が高く、非常に希少な場所だといえるでしょう。

      モダマが見れる季節は5月下旬から6月上旬

      雨が多い奄美大島ではありますが、梅雨時期は5月中旬から6月下旬です。モダマは5月下旬から6月上旬に花が咲き、その後、大きな鞘に入った実をつけます。そのため、梅雨時期がモダマの一番の見どころの時期です。
      ただし、必ずしも毎年花が咲き実がつくとは限らないため、注意が必要です。「実が見れなくても仕方ない、見れたらラッキー」というくらいの気持ちで望むのがいいでしょう。

      モダマだけじゃない!美しい「フナンギョの滝」も見どころ

      モダマ自生地の近くには、高さ約35ⅿから流れる大迫力の「フナンギョの滝」と呼ばれる滝があります。フナンギョの滝の前には石橋もあり、そこから滝を眺めることもできます。
      フナンギョの滝やモダマ自生地がある奄美市住用町は昭和初期、林業が盛んな場所でした。住用町で切られた木は舟を作るために使用され、「舟を切りに行く場所」との言い伝えからフナンギョという名前がついたといわれています。また、信仰の滝との言い伝えもあり、ノロの巫女が滝行に訪れることもありました。
      フナンギョの滝には駐車場があり、モダマ自生地からフナンギョの滝の駐車場まで車で約13分です。駐車場からフナンギョの滝へは徒歩で約10〜15分かかりますが、ゆるやかな山道が多いため歩きやすいです。

      世界最大の豆「モダマ」の特徴

      モダマには様々な伝承があり、ある童話のモデルになったともいわれています。モダマの生息地やモダマにまつわる伝承など、モダマの特徴を解説します。

      漢字表記は「藻玉」

      モダマの漢字表記は「藻玉」です。「藻」という漢字にはみずくさ、水中に生える植物という意味があります。
      モダマは海の近くに自生している植物のため、実がなり海に落下すると波に流され、海岸に漂着します。海岸に漂着したモダマのあずき色で丸い種子を海藻の種子と誤解したため、「藻玉」という漢字表記になりました。

      生息する場所は熱帯と亜熱帯のマングローブ林

      モダマは温暖で湿度の高い地域に広範囲にわたって生息する植物です。そのため、アフリカからアジアの熱帯や、亜熱帯の地域の海岸、マングローブ林に生息しています。

      モダマは豆だが食べることができない

      モダマはマメ科の植物ですが実はとても硬く、さらに毒抜きをする必要があります。そのため、食用には向かないとされています。

      モダマはあの童話のモデルに?モダマにまつわる伝承

      イギリスの童話「ジャックと豆の木」には巨大な豆の木が出てきます。その豆の木の様子がモダマに似ていることから、モダマがモデルになったとされる説もあるのです。また、モダマは幸運の豆「ラッキービーンズ」とも呼ばれています。
      日本のとあるテレビ番組がきっかけで、幸運をもたらす豆としてモダマが話題になりました。身近なところにおき、大切に持っておくことでお守りになるといわれています。またモダマの実の表面に傷がついた際は、災いから身を守ってくれた証ともいわれているのです。

      モダマ自生地への行き方を知ろう

      モダマ自生地があるのは鹿児島県奄美大島の奄美市住用町です。モダマ自生地へ行く方に向け、奄美大島までのアクセス方法、奄美大島内での移動手段について解説します。
      ※記載している料金は、2025年3月21日時点で最安値のものです。料金は時期や予約状況によって変動する可能性があるため、詳細は各交通手段の公式サイトをご確認ください。

      まずは奄美大島へ行こう

      <飛行機>
      奄美大島には東京・大阪・福岡・鹿児島・沖縄から直行便が運航しています。1日の便数、所要時間、料金を表にまとめました。

      奄美空港への直行便
      1日の便数 所要時間 片道料金 往復料金
      羽田空港 1便 約2時間20分 ¥19,840~ ¥39,680~
      成田国際空港 1便 約2時間30分 ¥7,980~ ¥15,960~
      伊丹空港 1便 約1時間50分 ¥9,800~ ¥19,600~
      関西国際空港 1便 約1時間45分 ¥6,050~ ¥12,100~
      福岡空港 1便 約1時間10分 ¥12,870~ ¥25,740
      鹿児島空港 9便 約1時間 ¥5,800 ¥11,600
      那覇空港 1便 約1時間 ¥17,510~ ¥35,020~

      <フェリー>
      奄美大島には鹿児島と那覇からフェリーが出航しています。1日の便数、所要時間、料金を表にまとめました。

      鹿児島・那覇から奄美大島へのフェリー
      1日の便数 所要時間 片道料金 (燃料油価格変動調整金込み) 往復料金 (燃料油価格変動調整金込み)
      鹿児島新港~名瀬港
      (MARIX LINE)
      1便 11時間 ¥10,690~ ¥21,380~
      鹿児島新港~名瀬港
      (鹿児島航路)
      1便 11時間 ¥10,690~ ¥21,380~
      鹿児島本港北埠頭~名瀬港
      (奄美海運)
      1便 12時間 ¥10,690~ ¥21,380~
      鹿児島本港北埠頭~古仁屋
      (奄美海運)
      1便 14時間 ¥12,050~ ¥24,100~
      那覇港~名瀬港
      (鹿児島航路)
      1便 12時間 ¥11,220~ ¥22,440

      レンタカーを使用する場合の所要時間や料金

      奄美空港、名瀬港、古仁屋港、名瀬からモダマ自生地までレンタカーを使用した場合の所要時間を表にまとめました。

      奄美大島のレンタカー
      所要時間 参考価格(24時間利用した場合)
      奄美空港~モダマ自生地 約1時間5分 ¥2,000~¥63,000
      名瀬港~モダマ自生地 約30分
      古仁屋~モダマ自生地 約35分
      ホテルが多くある奄美市の中心地名瀬~モダマ自生地 約30分

      ※参考価格は2025年4月時点での軽自動車の料金を掲載
      ※他の車種の料金の確認は こちら をご覧ください

      バスで行く場合の所要時間や料金

      奄美空港、名瀬港、古仁屋港からモダマ自生地までのバスで行く場合の所要時間や料金を表にまとめました。路線バスには乗り放題券もあります。

      モダマ自生地までバスでのアクセス(モダマ自生地の最寄りバス停は三太郎の里)
      アクセス方法 1日の便数 所要時間 片道料金 往復料金
      奄美空港~モダマ自生地 奄美空港から乗車 奄美市役所前で乗り換え 三太郎の里で下車 徒歩20分 奄美空港⇔奄美市役所 25便
      奄美市役所前⇔三太郎の里 7便
      約30分 ¥640 ¥1280
      名瀬港~モダマ自生地 名瀬合同庁舎前(名瀬港最寄りバス停)から乗車 三太郎の里で下車 徒歩20分 8便 約36分 ¥700 ¥1400
      古仁屋港~モダマ自生地 せとうち海の駅(古仁屋港最寄りバス停)から乗車 三太郎の里で下車 徒歩20分 8便 約55分 ¥1030 ¥2060

      ※運行ダイヤの改訂が行われる可能性もあるため必ず公式サイトの時刻表をご確認ください

      路線バス乗り放題券あり
      1日券 2日券 3日券
      ¥2400 ¥3600 ¥4800

      モダマ自生地を観光するうえで注意したいポイント

      モダマ自生地では指定文化財であるモダマを守るために注意したいポイントがいくつかあります。実際にモダマ自生地を歩くうえで気を付けたいポイントについて解説します。

      モダマ自生地に行くときは濡れてもいい服装で行こう

      奄美大島の5月の平均気温は23〜26℃、6月の平均気温は25〜28℃です。梅雨の時期で気温や湿度も高いため、濡れてもいい服や通気性のいい服で行くと良いでしょう。
      また、モダマ自生地は山道のため毒がある虫やハブが出現する可能性があり、ミニスカートやショートパンツ、タンクトップなど露出の多い服は避けたほうが無難です。
      モダマ自生地では山道を歩くため、足場がぬかるんでいると転倒する可能性があります。さらに慣れない山登りで靴擦れを起こす可能性もあるため、サンダルやヒールのような滑りやすい靴は避け、普段から履き慣れている防水性の高い靴を履いていくことがおすすめです。
      そのほか、雨で濡れる可能性があるためレインコートや折り畳み傘、タオルや予備の下着や靴下、服があると便利です。紫外線も強いため、日焼け止め、帽子、サングラスなどの紫外線対策グッズもあると安心でしょう。

      モダマは絶対に持ち帰らない

      モダマ自生地は1992年9月1日に奄美市指定文化財に認定されました。モダマは絶滅の恐れがあり、奄美大島5市町村の希少野生動植物保護条例で採取が禁じられている植物です。
      そのため、モダマの実をもぐことや、落ちているモダマを見つけても絶対に持ち帰らないようにしましょう。
      また、奄美大島は世界遺産に認定されており、その貴重な生態系への影響が考えられるため、ごみのポイ捨ては禁止されています。ごみは必ず持ち帰りましょう。

      奄美の自然を満喫!モダマ自生地を半日で巡るコース例

      モダマ自生地の近くには、奄美大島の自然や様々なアクティビティを満喫できる場所があります。モダマ自生地を含めた、奄美大島の自然の醍醐味を半日で満喫できるコース例をご紹介します。

      名瀬からモダマ自生地へ向かう

      奄美市の中心部名瀬からモダマ自生地までのアクセス方法です。
      まず、モダマ自生地には駐車場がありません。そのため、車を三太郎の里に駐車し、モダマ自生地から三太郎の里の間は徒歩で移動します。移動時間は約20分です。
      年配の方と一緒に回る場合は、徒歩の時間が許容範囲かを確認の上で、モダマ自生地に向かいましょう。

      レンタカーの場合
      所要時間
      名瀬⇒三太郎の里 約23分 モダマ自生地には駐車場がないため三太郎の里に駐車する
      三太郎の里⇒モダマ自生地 徒歩20分
      バスの場合(せとうち海の駅方面バスに乗車 モダマ自生地の最寄りバス停は三太郎の里)
      所要時間 1日の便数 片道料金 往復料金
      奄美市役所前⇒三太郎の里 約30分 7便 ¥640 ¥1280
      名瀬郵便局前⇒三太郎の里 約31分 7便 ¥640 ¥1280
      ウエストコート前⇒三太郎の里 約33分 8便 ¥640 ¥1280
      三太郎の里⇒モダマ自生地 徒歩約20分

      モダマを見た後は黒潮の森マングローブパークで奄美大島の大自然に触れる

      モダマ自生地の近くには、奄美大島の自然に触れることができる「黒潮の森マングローブパーク」があります。アクセス方法や体験できる内容についてまとめました。

      【アクセス方法】

      車の場合
      経路 所要時間 駐車場
      三太郎の里⇒黒潮の森マングローブパーク奄美大島 約8分 黒潮の森マングローブパーク奄美大島の無料駐車場は2か所
      それぞれ95台、84台駐車可能
      バスの場合
      経路 所要時間 1日の便数 片道料金 往復料金
      三太郎の里⇒黒潮の森マングローブパーク奄美大島 約10分 8便 ¥270 ¥540

      【施設情報】

      営業時間は9:30~18:00、休日は1月1日です。入園料は無料ですが、一部アクティビティは有料になります。無料で見学できる施設と有料のアクティビティを表にまとめました。

      黒潮の森マングローブパーク奄美大島 無料の施設
      無料で見学可能な施設 マングローブ館 ジオラマ水槽、売店、レストランなどがある
      スミヨウガーデン 奄美大島の住用村にしかない植物を展示している
      川のトンネル トンネルの上に川が流れ、リュウキュウアユを見れる
      展望台 施設内のマングローブ原生林を一望できる
      黒潮の森マングローブパーク奄美大島 有料アクティビティ
      有料アクティビティ 料金 所要時間 注意事項
      グラウンドゴルフ体験 ¥500(カヌーを利用した方は無料)
      クラブレンタル¥200
      マングローブカヌー乗船 60分コース¥3,000
      90分コース¥4,000
      60分
      or
      90分
      60分コース ①10:00②11:30③13:00④14:30⑤16:00出発
      90分コース ①9:30②15:30出発
      60分コースも90分コースも出発時間20分前には受付へ行く
      ※90分コースのみ前日までにメールor電話で予約必要
      セグウェイ体験 ¥3,000(2名以上で参加の場合)
      ¥5,000(1人で参加の場合)
      30分 セグウェイ体験はどちらも対象年齢7歳~70歳まで 月曜日~木曜日は前日までに予約した方のみ体験できる
      セグウェイマングローブ散策ツアー ¥5,000(2名以上で参加の場合)
      ¥7,000(1人で参加の場合)
      60分 金曜日~日曜日は当日参加も可能
      予約は電話または公式HPから

      体を動かした後は奄美体験交流館の浴場・サウナでさっぱり

      モダマ自生地や黒潮の森マングローブパークを巡り、ほどよく運動した後は奄美体験交流館に向かうことがおすすめです。
      小浴場、大浴場それぞれにジェットバスと薬草風呂があり、様々なお風呂を楽しめることが特徴です。小浴場には塩サウナ、大浴場には90℃の高温サウナが併設されています。営業時間や料金を表にまとめました。

      奄美体験交流館の浴場・サウナ
      営業時間 料金 アクセス方法 注意事項
      火曜日~土曜日 15:00~21:00
      日曜日13:00~21:00
      休館日月曜日
      大人 ¥520 モダマ自生地最寄り駐車場の三太郎の里から車で1分
      徒歩7分
      シャンプーやボディソープ、タオルなどのアメニティはないため持参が必要(受付でも販売中)

      海を臨む三太郎の里でおみやげもゲット

      奄美体験交流館で汗を流しリフレッシュした後は、海沿いにある三太郎の里で旅の楽しみであるおみやげを探してみましょう。施設内には観光案内所、お土産販売、カフェなどがあります。アクセス方法などを表にまとめました。

      三太郎の里
      営業時間 アクセス方法 おすすめメニュー お土産
      夏季:
      9:30-18:00
      冬季:
      9:30-17:30
      最寄りバス停三太郎の里より徒歩約1分
      モダマ自生地より徒歩約20分
      奄美大島名物のタンカンを使用したソフトクリーム
      すもも、タンカン、パッションフルーツを使用したジュース
      紬を使った小物
      奄美大島の名物を使用した食品など

      世界最大級の豆があるモダマ自生地で奄美大島の豊かな自然を満喫しよう

      世界最大級のマメ科植物モダマが自生する奄美大島。世界遺産に認定されたこの島で、指定文化財である希少な植物モダマを見ることで、豊かな自然を守ることの大切さを学ぶことができます。
      モダマ自生地に行く際は、モダマは持ち帰らない、山道を歩くため適した服装で行くなどルールを守ることが必要です。モダマを見て大自然を満喫し、様々なアクティビティを体験できる思い出に残る旅をしたい方は、奄美大島のツアーをチェックしましょう。