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最終更新日 2025.06.30

アマミノクロウサギに会いに行こう!観賞できる時期や特徴・おすすめのツアーを紹介!

  • 奄美大島
  • 屋久島・奄美

アマミノクロウサギは、鹿児島県の奄美大島と徳之島に存在する特別天然記念物のウサギです。本記事では、アマミノクロウサギの特徴や見られる時期、アマミノクロウサギに会えるツアーを紹介します。

アマミノクロウサギは奄美大島・徳之島に生息する特別天然記念物の黒いウサギ

アマミノクロウサギは、世界で奄美大島と徳之島の2島にのみ存在する希少なウサギで、現在は絶滅危惧種に指定されています。
「生きた化石」と呼ばれるこのウサギは、約200万年前にユーラシア大陸から分かれた島に取り残されるかたちで独自に進化してきました。
体は黒っぽく耳や足が短く、草原を跳ね回るウサギとは異なり、森林の中をゆっくりと歩いて移動します。夜に活動し、落ち葉などを食べながら暮らしており、警戒時には高い鳴き声をあげることもあります。
出産は年に2回ほどで、1回に生まれる子ウサギは1〜2匹と少なく、増えにくい性質があります。
巣穴を掘って生活しており、子育てをする際は、自分の巣穴とは別の穴を掘って天敵が侵入しないように土でふたをします。授乳の度にふたを堀り、子どもが出てきたら授乳をし、終了したら再度ふたをするという育て方をしている点も特徴です。

アマミノクロウサギが絶滅危惧種に登録されたのはなぜ?

アマミノクロウサギがなぜ絶滅危惧種に登録されたのか、理由を解説します。

  • 森林伐採による住処の現象
  • 車道に出てきたウサギが車に轢かれる事故の多発
  • マングースや野良犬・猫などによる捕食

森林伐採による住処の減少

昭和40年代に実施された拡大造林による人工林の増加、パルプ材の切り出しによる森林の伐採、採石による森林の消滅などによりアマミノクロウサギの住処である森林が失われました。
森林が伐採されることでアマミノクロウサギが食べる植物の葉や木の芽などが減少し、巣穴を奪われ命を落とし、数が減少したため絶滅危惧種に登録されています。

車道に出てきたウサギが車に轢かれる事故の多発

アマミノクロウサギが車に轢かれてしまう「ロードキル(交通事故)」が深刻な課題となっています。
夜行性であるアマミノクロウサギは、夜間に道路に出てくることが多く、自動車のヘッドライトに驚いて立ち止まってしまう習性があります。そのため、ドライバーが気づいたときには避けられず、事故につながってしまうのです。
最近の事例ですと、2023年の奄美大島でのアマミノクロウサギの死亡件数は215件、うち交通事故による死亡件数は147件と、多くのアマミノクロウサギが交通事故の被害に遭っています。
また、徳之島での2023年のアマミノクロウサギの死亡件数は57件、うち交通事故による死亡件数は28件です。事故による死亡が全体の半数以上を占めています。
交通事故は林道だけではなく、スピードを出して走る国道や県道でも発生しています。アマミノクロウサギは夜行性のため、夜、道路に飛び出し交通事故にあう可能性が高いのです。
夜間、アマミノクロウサギが急に道路に飛び出しても止まれるよう、減速して運転することを環境省が呼びかけています。
アマミノクロウサギの交通事故が起こっている地点には警戒標識が設置されており、特に注意して運転することが必要です。

マングースや野良犬・猫などによる捕食

マングースの捕食により、アマミノクロウサギの数が減少した時期がありました。 森林開発やハブの駆除のために沖縄県から約30頭のマングースが持ち込まれたのは1979年頃です。
マングースはバッタやコオロギ、カエルやウサギなどを捕食します。アマミノクロウサギを含めた生物を捕食し、奄美大島のマングースは2000年までには約10,000頭まで増加しました。
マングースを根絶するために「奄美マングースバスターズ」が結成されたのが2005年です。
その団体の活動により、マングースは減少し、2018年4月に最後の1頭を捕獲した後はマングースの生息情報が確認されていません。
野良犬や猫による捕食による被害も深刻です。
2023年、奄美大島で奄美クロウサギが死亡した件数は215件、うち犬と猫の被害で死亡した件数は23件、徳之島で死亡したアマミノクロウサギは57件、うち犬と猫の被害で死亡した件数は8件でした。
交通事故に比べると少ないですが、犬、猫によって現在もアマミノクロウサギは死亡しているため、犬や猫が野良にならないように愛情を持

アマミノクロウサギが見られる時期・場所

アマミクロウサギを見られる時期や、その時期の奄美大島の魅力について解説します。アマミノクロウサギを見るための旅行計画を立てる際の参考にしてください。

  • 春・秋の暖かい日の夜がおすすめ
  • 奄美市住用町にある「三太郎線」に現れやすい
  • アマミノクロウサギが見られる春・秋の奄美大島の魅力

春・秋の暖かい日の夜がおすすめ

アマミノクロウサギの繁殖期は春と秋の年2回です。春と秋は多くのアマミノクロウサギに出会える可能性が高くなります。春と秋は気温も暖かく、アマミノクロウサギたちの動きが活発になる時期です。
また、アマミノクロウサギは夜行性の生き物です。昼間より夜間の方が活発に活動しているため、日没から午前3時くらいが出会いやすいとされています。

奄美市住用町にある「三太郎線」に現れやすい

奄美市住用町に「三太郎線」と呼ばれる場所があります。昔は林業のための道路として活用されていました。現在は自然観察ができる場所、住民の生活用の道路として活用される場所です。
夜間に三太郎線を通行する際は、奄美大島・三太郎線の夜間利用事前予約サイト上で事前に予約が必要であると奄美野生生物保護センターがルールを設けています。利用客が多い時期の混雑を緩和し、三太郎線がある奄美市住用町の住民の利用機会を確保するためです。
三太郎線で野生生物を観察する際は、各エコツアー会社より提供されているナイトツアーを予約するといいでしょう。
ナイトツアーに参加することで、野生生物の観察ルールを守りながら観察できます。
奄美野生生物保護センターが公表している、三太郎線で夜間の野生生物を観察する際のルールは以下のとおりです。

【三太郎線での夜間の野生生物の観察ルール】

  • 時速10km以下で走行
  • カエルやオタマジャクシなどの生活の場である水たまりは踏まない
  • 小型の両生類、爬虫類、甲殻類にも気を付けて走行する
  • アマミノクロウサギなどが道路の脇から飛び出してくることもあるため気を付ける
  • 下り坂はスピードが出ないように注意する
  • アマミノクロウサギを観察するときは2m以上離れる
  • 餌を与えない、触らない、ペットは連れて行かない
  • 大きな音は出さない、車のドアを勢いよく閉めない
  • 生物を探すライトは車に1個まで、逃げる生物は追いかけない

2024年の奄美大島の平均気温は以下のとおりです。

奄美大島の平均気温(2024年)
1月 15.6℃
2月 18.2℃
3月 17.6℃
4月 22.3℃
5月 23.5℃
6月 26.4℃
7月 29.9℃
8月 29.5℃
9月 28.1℃
10月 26.0℃
11月 22.4℃
12月 16.1℃

引用:名瀬(鹿児島県) 2024年(月ごとの値) 主な要素|気象庁

3月の奄美大島は海開きを迎えるため海水浴を楽しめる季節です。
アマミノクロウサギの観察だけでなく、シュノーケリング、ダイビング、カヌー、サップなどの海でのアクティビティが楽しめます。また、マングローブの森の散策やトレッキングも楽しめる季節です。
秋の奄美大島は、夏に比べ気温も下がり過ごしやすくなります。夏休みも終わり、観光客が減少する時期のため、混雑も避けられるでしょう。シュノーケリングやカヌー、トレッキングなどのアクティビティも楽しめます。

高確率でアマミノクロウサギを観賞できる方法

アマミノクロウサギは野生生物のため、比較的出会いやすい春や秋の夜でも出会えない可能性があります。アマミノクロウサギを高確率で鑑賞するためには、ナイトツアーへの参加や保護研究施設へ訪れることがおすすめです。

  • ナイトツアーを利用する
  • アマミノクロウサギ保護研究施設に足を運ぶ

ナイトツアーを利用する

アマミノクロウサギは夜行性の生物です。姿を見るには夜間、森に行かなければなりません。奄美大島や徳之島の土地勘がない場合、自分でアマミノクロウサギを探すことは困難を極めるでしょう。
ナイトツアーに参加すると、ベテランのガイドが同行し、アマミノクロウサギが住処としている場所まで案内してくれます。ガイドの方がアマミノクロウサギにより出会いやすい場所を案内してくれるため、出会える確率が高くなるでしょう。

アマミノクロウサギ保護研究施設に足を運ぶ

奄美大島にはアマミノクロウサギミュージアム「Quru guru(くるぐる)」があります。アマミノクロウサギの生態を映像や音声ガイドで学べる場所です。
屋外展示場では巣穴の中にカメラが設置され、巣の中の様子を観察できます。屋内展示場では昼夜逆転した環境でアマミノクロウサギを飼育し、アマミノクロウサギの行動を観察できることも特徴です。

【アマミノクロウサギミュージアム Quru guru(くるぐる)】

  • 料金 大人¥1,000 子ども¥500(未就学児は無料)
  • 駐車場あり
  • 開館時間 9時30分~16時30分
  • 定休日 月曜日(月曜日が祝日の場合翌日が定休日)年末年始(12月29日~1月3日)
  • 奄美空港より車で約1時間

アマミノクロウサギを観察する!おすすめナイトツアー3選

アマミノクロウサギが生息する場所で実物を見たい場合はナイトツアーに参加することがおすすめです。アマミノクロウサギを観察できる可能性が高いおすすめのナイトツアー3選を紹介します。

  • 観光ネットワーク奄美
  • 元祖ナイトツアー
  • 奄美ナイトツアーサービス

観光ネットワーク奄美

アマミノクロウサギはもちろん、カエルや野鳥、蛍などの夜の野生生物にも出会えるツアーです。春はリュウキュウコノハズク、夏は蛍、秋から冬はカエルなどを鑑賞できるでしょう。アマミノクロウサギは1年中、観察可能です。

【観光ネットワーク奄美】

  • 所要時間 約3時間
  • 料金¥9,000
  • 出発時間 日没後
  • 集合場所 観光ネットワーク奄美の事務所
  • ツアーは2名以上で遂行 前日までに予約必要

【アクセス方法】

元祖ナイトツアー

経験豊富なツアーガイドが同行し、生物の解説を行うツアーです。利用する4WDジープは大人5名までの乗車のため、少人数で野生生物の観察ができます。
4WDジープは天気が良い日はフルオープンとなり、星空を満喫できることが特徴です。肌寒い日にはブランケットなどの貸し出しもあります。
元祖ナイトツアーには、ナイトサファリツアーとミッドナイトツアーの2種類あります。ナイトサファリツアーもミッドナイトツアーもLINE公式アカウントまたはメールまたは電話での予約が必要です。メールのみ前日までの申し込みとなります。

【ナイトサファリツアー】

  • 所要時間 2時間~2時間30分
  • 料金 ¥8,000
  • 集合時間 10月~2月18時前後 3月~9月19時前後
  • 集合場所 元祖ナイトツアーの店舗
  • 最少催行人数2名

【ミッドナイトツアー】

  • 所要時間 2時間30分~3時間
  • 料金 ¥9,500
  • 集合時間 10月~2月21時前後 3月~9月22時前後
  • 集合場所 元祖ナイトツアーの店舗
  • 最少催行人数2名

ミッドナイトツアーはガイドが運転する4WDジープでゆっくり走行しながら、アマミノクロウサギを探すツアーです。遅い時間に出発のため、静かな環境で観察ができます。下車してカエルなどの生物を観察できる可能性も高いです。

【アクセス方法】

奄美ナイトツアーサービス

奄美群島エコツアーガイドが同行し、案内することが特徴です。ガイドは、アマミノクロウサギの習性を把握しており、アマミノクロウサギの遭遇率はほぼ100%といわれています。
4WDのオープンジープに乗り、2時間30分以上かけて巡るツアーです。

【奄美ナイトツアーサービス】

  • 料金 ¥8,000 小学生¥6,000
  • 集合時間 各月の日没時間 生物の観察に適した時間
  • 集合場所 黒潮の森マングローブパーク道の駅または和瀬港
  • 予約は2名から可能

【奄美ナイトツアーサービスへのアクセス】

黒潮の森マングローブパーク道の駅または和瀬港のどちらかに集合です。集合場所は予約確定メールでわかるようになっています。

アマミノクロウサギを見る際の注意点

土地勘がなく慣れない夜道で運転すると、事故や野生生物を轢いてしまう場合があります。危険なだけではなく、個人でアマミノクロウサギを発見することは非常に困難です。
必ずガイドがついたツアーに参加し、ガイドの指示に従いながら静かに観察しましょう。
春や秋の奄美大島は温暖な気候ですが、昼と夜の気温差があるため、長袖の羽織を用意すると温度調節ができ便利です。
ナイトツアーでは基本的に車内からアマミノクロウサギを観察する形になりますが、まれに下車して歩くケースがあります。その際にハブや虫対策として虫よけスプレーを常備し、長袖長ズボン・スニーカーを着用しておくといいでしょう。

アマミノクロウサギと出会うツアーで家族との特別な思い出を残そう

アマミノクロウサギを観察するために三太郎線に行く際は、事前予約が必要で、遵守すべきルールがいくつかあります。アマミノクロウサギのロードキルや、野生生物にストレスを与えることを防ぐためにも、現地のガイドが同行するツアーへ参加しましょう。
夜遅い時間になるナイトツアーでは、集合・解散場所から宿泊先までの移動時間や、前後の旅程を考慮しないと体力的に厳しくなります。
アマミノクロウサギの観察に加え、移動・食事場所・観光スポット・宿泊場所を自身でコーディネートすることが心配であれば、目的に沿った柔軟な旅程を組めるツアー会社に委ねることも選択肢の一つです。
もし奄美大島のツアーについて詳しく知りたい方は、こちらのページをご参考ください。

奄美大島自然体験ツアーの詳細はこちら|南西旅行開発